EVE第9回 審査員ご感想: 本山秀毅

2025-01-23

エリア大会審査員 本山 秀毅 様よりEVE 第9回のご感想をいただきました。

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躍動するエネルギー

昨年に引き続きYTJ(ユースシアタージャパン)主催、

全国英語歌唱コンクール第9回「関西エリア大会最終予選」の審査にお伺いした。

この催しは英語による歌唱を通して、世界に発信出来る若い世代の育成を目的に行われているもので、

全国の支部で行われているチームによるミュージカルレッスンの成果を問う性格も併せ持っている。

このコンクールに向かう時期以外は、英語によるミュージカルの自主公演を行っているとのことである。

詳細はWEBページを参照されたい。

継続して何年か審査員として関わらせていただく中で、この企画の趣旨に共感している。

それは参加している若い世代の輝くばかりの存在感は勿論のこと、

その世代の音楽の志向を満たす場として、出会いや気付きをあたえる機会として、

また集団でひとつのものを創り上げる貴重な場面として、ひいては部活の地域移行後の受け皿として、

など時代に合う多くの特徴を備えていることに由来する。

参加者の全てが得意科目を問われて「英語」とは答えないかも知れない。

しかしここには彼らが本当にやりたいパフォーマンスの創造に「英語」が付随する。

これを「生きた教育」と呼ばずして何と形容すべきだだろう。

「英語」による歌唱に限定していることについては意見があるかも知れない。

しかし「世界に発信出来る人材の育成」を掲げていることと些かも齟齬はない。

小学生たちがたとえ丸覚えであったとしても、

生き生きとリズムに乗せて英語を繰り出す様には驚かされる。

それはそこに、音楽や歌唱が仲介役を果たすからこその結果なのである。

グループからさらに自らの才能に磨きをかけたソロ部門の出場者には、

グラミー賞歌手やハリウッドのミュージカルを彷彿させる達者な英語に、

得難い個性と音楽性を展開する若者もいて喫驚のひと時であった。

この部門では誰が上位大会に進んでも相応しい、

高いレベルの拮抗した素晴らしい時間であった。

そして彼らの近い将来のこの世界での活躍に思いを馳せたのである。

部門が細かく分かれていて、概ね小学生、小学校高学年、中学生、

高校生以上25歳までがグループとソロに分かれて演奏を披露する。

興味深いのはこのように世代を並べてパフォーマンスを観ると、

必ずしも「右肩上がり」ではないことに気付かされる。

小学生の小器用さ、中学生のこの時期としては喫驚する伸びしろに対して、

高校、一般となると「予定調和」とでも言うのか、

聴く側の「期待値」が高まる分ハードルが上がり、

自らの思い描くものとは差も生じ始めるようになる。

これはこれまで数多く聴いてきた合唱コンクールとも

通じるものがあり興味深い観察であった。

いずれにせよ、世代ごとにその瞬間瞬間に大きな意味があり、

貴重な時間を皆が同じように生きていることを感じさせる経験値となった。

グループの場合はミュージカル舞台顔負けのパフォーマンスを伴うものもあった。

全てが5分程度のパフォーマンスであったが、そこに蓄積された時間とエネルギー、

その時間にかける思いの凄まじさは、一度でも舞台に関わったことのある者なら一目瞭然であり、

老婆心ながら彼らの学校での学びや部活などと両立が出来ているのかを

気遣わせる集中したステージが連続したのであった。

今回はグループパフォーマンスの前に短い団体紹介のアナウンスをメンバー自らが行なっていたが

「自分たちのパフォーマンスが皆さんに勇気と希望を与えられるように頑張る」

といった定型のフレーズが目についた。

通り一遍のその言葉通り、聴衆の全てが多くの勇気と希望を感じるひと時であった。

私も休憩をはさむとはいえ2時間半を2ブロック、

加えて講評の録画もあり聴いている時は全集中であったものの、

疲労困憊の体で帰途についたのであった。

いずれにせよ、若い世代のエネルギー漲る演奏で新年をスタート出来たことに感謝したい。

‍English Vocal Election 事務局

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(ユースシアタージャパン西宮スタジオ)