『”志”にも多様性』
以前、ユースシアタージャパンの選考試験にて、ミュージカル『レ・ミゼラブル』にも出演されていたこともある、現役のテノール歌手の方（Tさん）が外部の審査員として選考試験に参加いただいていました。
挨拶をするときの声も、1点の曇りのない、思わず聞き惚れるほどの声質なのです。
おそらく、3歳くらいから、音楽一家で家にはグランドピアノなんかもおいていて、歌やピアノの練習をやってきて、絶対音感も持っていて、その道を極めていらっしゃる方なんだな、と私は勝手に想像していました。
昼休憩になり、軽く食事をする時間になったので、YTJの歌唱講師とTさんと近くの定食屋に入り食事しながら色々話をしていました。
そもそも歌唱に興味をなぜ持ち始めたのか、いつくらいから始めたのか、大学にはいるための受験ってどういったスタイルなのか、そもそも声の質、いわゆる素質みたいなものってあるのか、どんな仕事の依頼がくるのか、などなど。。。
自分が見たことない経験したこともない世界の方なので、非常に興味をもってしまいます。
そのせいで、Tさんが注文されたヒレカツ定食についていたそばがのびてしまう結果になってしまい、すみません！
Tさんがテノールの歌手を目指そうと思ったのは高校2年のとき。
それまではゲームやコンピュータが好きで、お父様も電気系のお仕事をされているそうで、Tさんも電気通信高校に入ってコンピュータ系の道に進んでおられたのこと（全然道が違ったので驚き）。
そんな時、テレビでたまたま「プッチーニ」の『ラ・ポエーム』を観た時に、体中に電気を打たれるほどの衝撃が走った、のがきっかけとのこと。
それからというもの”テノールの歌手”になる決意をし、高3を迎える進路相談では、音楽系の大学に進むことに。
しかし、音楽大学の受験というものがどんなものがあるかも知らず、もちろん何を勉強すればよいかわからない状態。
両親に話しても「どこかで頭を打ったのか？」と疑うほど、全然聞く耳をもたなかったそうです。
その後、大学の資料を取り寄せ、どんな受験になるのか調べるも、受験項目に記載がある用語すら意味が不明で、資料にお客様相談室という項目に電話番号が書いてあるのをみつけ、電話することに。
最初は、応対した事務員さんも冷やかしで電話を掛けてきたのかと思われるほど質問される用語すら理解できなかったそうな。
しかし、話しているうちに熱意が通じて、大学側から、Tさんの近くの家に住んでいる音楽講師の方を紹介してくださることに。
楽譜を読めない、ピアノすら引けない、歌習ったこと無い状態からのスタートで、最終的に音楽系の大学に見事合格されました。
今やプロになって１２，１３年目になり大活躍されてらっしゃいます。
まったく経験の無い状態でもこういった志(こころざし)があれば、なんでも叶うのです、という言葉ではなく背中で語るその姿に、私も思わず胸が熱くなりました。
私は、ない仕組みを創って皆が働きやすくなったり、多くの方が利用してくださるサービスをつくることが好きです。
最終的にはいつでもどこでも仕事ができる自由なライフスタイルを実現したいと思っています（仕事を日々のライフスタイルに溶け込ませる方が働きやすいというタイプなのかな）。
なので色んなチャレンジ、経験ができる団体で、まだない仕組みを創って経験していくのが好きなのです。
どこを目指して仕事をしているのか。志１つとっても、色々な考え方、向き合い方、想いがあると思います。
「こうしようと心に決めたこと」が志ですので、様々あってよいと思います。
ある人は、公演を制作すること、公演の制作までは求めていないにしても、何かしら公演に関われる仕事がしたい、レッスンすること、などなど、色々な志があると思っています。
そんな多様な志をもった人たちが集まり、そして皆の志が満たせる環境を引き続き一緒に創っていきたいものです。
P.S.
最後にTさんに、「いくら声楽家になりたいと志をもっていても、そもそも声が合っていない人ってどうにもならないのでは？という質問をしました。
どんな答えを頂いたかというと、「声があっているかどうかではなく、どの音域が自分にあっているかをやりながら見つけることです。絶対に自分にフィットしている音域は存在するので。」でした。
自分の志が何なのか思い浮かばない人でも、目の前の仕事に没頭していると、認められたり、頼られたり、結果がでたり変化があると、これが自分にあっているのだなと発見できたりするものです。
焦らず、目の前のことを全力で一緒に解決してまいりましょ^^
English Vocal Election事務局
秋山
